2011年8月17日水曜日

今年の夏の読書



いい本が見つかったので記録しておく。

『なぎさホテル』伊集院静
 伊集院さんの著書は少し読んだが、これが1番面白かった。ほぼ実際にあったことを書いているようだ。逗子にある(今はやっていないようだが)ホテルに2年?ほど滞在していた頃のことが書かれている。伊集院さんがまだ作家になる前のことで、彼の生き方やその行動について知ることができ興味深い。またホテルの支配人を始めとするスタッフのエピソードや海辺のホテルのたたずまいが実にいい雰囲気で描かれている。
『夕映え天使』浅田次郎
 自分のご贔屓の佐々部清映画監督が今月27日に公開される「日輪の遺産」の原作者の小説。自分はまだこの作家読んだことなかったのだが、気に入った。日輪の遺産は映画で見るので読まないが、その小説の兄弟作品という「地下鉄(メトロ)に乗って」原作の映画をDVDで見た。お話は面白かった。映画そのものにはちょっと文句があるのだが。それで、まずはこの短編集を読んでみようと思ったわけだ。表題の「夕映え天使」の他に5編あったが、どれも面白く読んだ。夕映え天使も面白かったが、あと1週間で時効を迎える喫茶店の店主(犯罪者)と退職間近の刑事が東北のさびれた街で遭遇するお話「琥珀」実にその東北の寒々とした景色と相まって味わい深い。貧乏な少年とその街の丘の上に建つ白い家の少女との出会いから始まる「丘の上の白い家」など自分の中に強烈な印象を残した。どのお話も映画化できそうな印象的なシーンが多いように感じた。浅田次郎という人、作家としてデビューするのがかなり遅かったらしくいろんな苦労をしてきたようだ。そんな人生の経験が作品に表れているのだろう。他の小説も読んでみよう。

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